“休暇で訪れた英オックスフォードで、最近注目を集めている未来の超高速計算機、量子コンピュータの理論を提唱したデイヴィッド・ドイチュ博士に会ったのだ。 軽い気持ちで訪れたのだが、彼の自宅を一目見た時から、何かが起こりそうな予感がした。まるで空き家だ。ドアのペンキは剥げ、窓のカーテンは色あせ、庭には草がぼうぼうと茂っている。呼び鈴を押してドアが開くと、今度は壮絶な散らかりように息を呑んだ。あらゆるものが床を覆いつくし、階段をはい上り、隅という隅を埋め尽くしている。その中に、華奢な長身によれよれのシャツを着て、肩につきそうな長髪のドイチュ博士が微笑んで立っていた。 後にわかったことだが、博士は講義をせず、試験もせず、大学に足を踏み入れない。その代わりに給料も貰わず、もっぱら自宅で研究している。「どうして量子コンピュータは早いんですか」と聞くと、「僕の考えでは、平行して存在する多数の宇宙で計算を分担しているからです」ときっぱり言い切った。”
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量子コンピュータのデイヴィッド・ドイチュは「給料も貰わず、もっぱら自宅で研究している」そうだ!おおっ,なんともマッドな雰囲気でゾクゾクする….
[第14回] 古田 彩 日本経済新聞社 日経サイエンス編集部 - 塾員来往:理工学部 慶應義塾大学
(via kashino)
